2020.4.7
新型コロナウィルス手引き
2020年4月7日。
とうとう本日緊急事態宣言が発動されます。
東京駅や、お昼時にはいつも賑わう桜通も今日はガランと静まり返っています。
閉店に追い込まれ、看板を撤去した飲食店もチラホラ。
不思議な眺めです。
とにかく今は、ある程度自分の身は自分で守るという覚悟を決め、行動するのみです。万が一、体に異変を感じた場合、それが普通の風邪なのか、コロナ感染なのか、判断は非常に難しいようですが、今回は皆様にも改めて、それらを判断する材料として基本的な情報をご提示いたします。
以下は、参考資料として、一般社団法人プライマリ・ケア連合学会のコロナウィルス関連の資料から抜粋させていただきました。
医療従事者向けの手引きですが、大変わかりやすいので、ぜひご覧ください。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の手引き
症状が長く続く
新型コロナウイルス感染症の経過には、
- 感染から約5日間(1〜14日間)の潜伏期を経て
- 感冒様症状(発熱、咳、喀痰、咽頭痛、鼻汁等)倦怠感等が出現し、
- 一部の患者では嘔吐、下痢などの消化器症状を呈することもあり、
- それら症状が比較的長く、約7日間持続する、
という特徴があります。
特に倦怠感については、
発熱(体温)がそれほど高くないのに倦怠感が強いことがある
という特徴もあります。
また、普通感冒(かぜ)やインフルエンザ、急性胃腸炎(ノロウイルス感染症など)では、発症から3〜4日目までをピークに改善傾向に転じるのが⼀般的ですが、新型コロナウイルス感染症では、それらよりも症状が長く経過するという点で異なります。
さらに、症状が7日間前後続いた後に、次のような経過をたどります。
- 約8割の患者は、自然に軽快して治癒する。
- 約2割の患者は、肺炎を合併。特に高齢者や基礎疾患がある場合は肺炎を合併しやすい。
- 肺炎に進展した患者のさらに一部が,重症化して集中治療や人口呼吸を要する。
普通感冒、インフルエンザ、急性胃腸炎のいずれも、肺炎等の入院を要する状態に至ることは比較的稀です。入院を要するような肺炎を約2割という高い確率で合併するのが、新型コロナウイルス感染症の特徴です。
また、新型コロナウイルス感染症に合併した肺炎では、
- 強い湿性咳嗽
- 息苦しさ、呼吸困難
- 軽微な乾性咳嗽
- ほとんど呼吸器症状を呈さない
などの多彩な臨床像を呈します。
臨床症状のみから「咳や喀痰が大したことないから肺炎にはなっていないだろう」とは言えないのがこの疾患の特徴です。
【表1】新型コロナウイルス感染症の特徴
ただし、新型コロナウイルス感染症であっても発症7日以内の早いタイミングで肺炎に至ることもあるため、慎重に経過を追うことが必要です。特に、高齢者や基礎疾患を有する患者、または妊娠中の女性では、発症直後に肺炎に至ることもあるため要注意です。
新型コロナウイルス感染症を疑い鑑別に挙げるのは、次のような場合と言えます。
- 発症から4日以上症状が持続する場合
- 発症から4日未満であっても、高齢者、基礎疾患を有する患者または妊娠中の女性の場合
- 経過中に肺炎様の症状が出現した場合
逆に言えば、高齢等の条件がない一般の患者において発症4日未満の時点で新型コロナウイルス感染症とその他の疾患を鑑別することは、非常に難しいと言わざるを得ません。
高齢者と基礎疾患患者の致命率が高い
高齢者及び免疫低下につながる基礎疾患がある患者が新型コロナウイルス感染症に罹患した場合は、肺炎を合併しやすく、また重症化しやすい傾向があります。
高齢及び基礎疾患がある場合の致命率は【表2】のとおり、健康成人に比べて大きいく異なります。
【表2】致命率の比較
したがって、高齢者及び基礎疾患(糖尿病、心不全、腎障害、人口透析、生物学的製剤投与、化学療法及び免疫抑制剤投与等)を有する患者では、感冒様症状を呈した場合は慎重に経過観察する必要があります。
その上で症状悪化時には速やかに高次医療につなげ、死亡を回避することが重要と言えます。
一方で、小児では重症化は稀です。
小児における新型コロナウイルス感染症は、ほとんどが普通感冒と同様の経過のみで治癒すると考えられます。