2020.4.20
ウィルス対策には米が良いかも?!
新型コロナウィルスは、日に日に勢いを増し、あっという間に世界中に広がりました。
特に欧米において感染の拡大と重症化が激しいようですが、それらの国々と比較して、日本は今のところ緩やかな拡がりに留まっています。
欧米と日本とでは、日本の方が実質対策が遅く、緩い、と感じていますが、この差の要因はいったい何なのでしょうか。
今回は、私たちの日常的な食生活の中で、「ウィルス対策として期待ができるかも?!」をテーマにしたお話です。
前回は「お茶」を挙げましたが、なんと今回は私たちが毎日食べている「お米」です。
「お米がウィルス対策に...?」
ほとんどの方がピンと来ないですよね。
まずはウィルス増殖のメカニズムと、抗ウィルス剤のメカニズムから。
ウィルス増殖のメカニズム
①侵入
②生成
③切断
④組立
⑤増殖
ウィルスは増殖するために、自らの形を変化させる必要があります。
ウィルスはまず、私たちの体に侵入したのちに、組み立てに必要な蛋白質を宿主の細胞に作らせます。
しかし、この出来上がった蛋白質は、このままの大きさでは組み立てられないため、ウィルスが持っている、所謂「ハサミ」のようなもので切断し、再度新たな形に組み立てます。
こうしてウィルスは増殖可能な状態が完成します。これは言わばプラモデルを組み立てるような作業です。
抗ウィルス剤のメカニズム
このウィルスの切断に使われるハサミ。
いっそのこと、このハサミを壊してしまえば、ウィルスの増殖を阻止できるのでは?
実はこれが抗ウィルス剤の発想とメカニズムで、エイズ(HIV)の薬もこの発想から開発されました。
このウィルスが持つ特有のハサミを「プロテアーゼ」と呼びます。
それに対して、このプロテアーゼによる切断を「阻害」する物質を「プロテアーゼインヒビター 」と呼びます。
わかりやすく言うと「抗ウィルス物質」ですね。
そしてなんと、我々が大好きな「米」に、そのプロテアーゼインヒビターが、とりわけ多く含まれていることがわかりました。
以下は「農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター 」の 「農業および園芸」より抜粋。
⑴オリザシスタチン
デンプン性胚乳組織(白米に相当する)には、オリザシスタチンと命名されたセリンプロテアーゼインヒビターが存在する。
イネのプロテアーゼインヒビター(プロテアーゼ阻害物質)としては, オリザシスタチン遺伝子が最初にクローニングされ、開花後2週間目のイネ種子区乳組織で強く発現していることが明らかにされている。
オリザシスタチンは哺乳動物のシスタチンと相同性が高く、シスタチンスーパーファミリーが共通して持つ配列を含む102個のアミノ酸より構成されている。
非常に興味深いのは、ヘルペスウイルスに対し、抗ウイルス活性を示すことである。
動物細胞にウイルスが感染した後、宿主内でウイルスが増殖する際に、特定のプロテアーゼが作用することが重要であると考えられている。
オリザシスタチンはヘルペスウイルスであるHSV-1が増殖する際に働くプロテアーゼを阻害していると推定されている。
すなわちオリザシスタチンはウイルスに対する防御機能を持つということである。
これらのことは、ヒトは経験的にイネ種子胚乳(白米)にはウイルスの増殖を防ぐ働きがあるオリザシスタチンが多量に存在することを知っており、風邪などにかかった際に熱が高くてあまり食欲がわかない場合に、白米を調理して「おかゆ」あるいは「おもゆ」として食べることで、ウイルス防御に関与するオリザシスタチンを摂取していたのかもしれない.。
加熱調理した後のオリザシスタチンに抗ウイルス機能があるとは証明されていないし、生体で効果があるかどうかも未解明だが、オリザシスタチンにウイルス増殖を抑える作用があるのなら今後有効利用を考えてみるのは面白いと思われる。
まとめ
現時点では、阻害物質が米の中に含まれている、という段階の話ですが、私たちが現在コロナウィルス対策として、できることが非常に限られている中で、少しでも取り組めるものとして、米食を意識してみても損はないと言えるのではないでしょうか。さらには、お茶にも抗ウィルス作用があるとすれば、「お茶漬け」は尚のこと効果的なのでは?!なんてことも考えられますね。
欧米に比べ、未だに我々日本人の被害が甚大ではない要因が、ここにあるかもしれません。
これは飽くまでも個人的見解ですので、ご参考までにされてください。